牛肉王のブログ

焼き肉店を4店舗経営する筆者が美味しい牛肉とは何か?どんな部位が美味しいのか?本音で日本の牛肉について語るブログです。

雄と雌の肉の違い

 

〇雄は去勢される

 

国内で流通されている、国産牛肉に雄はほぼいない。去勢されるからだ。これは性別を中性にして、肉質を雌に近づける為だが、これでわかるように基本的に雌牛の肉の方が美味しい。

www.naro.affrc.go.jp

という点でわかるように雌牛と去勢牛では脂の融点で決定的な差がある。

暮らしに”ちょうどいい”製品をお届けするオンラインストア【くらしの丁寧品店】

〇雌牛優位は絶対?

このような資料があると、必ず出てくるのが雌牛を売りにするところが出てくる。それはそれで間違いは無い。平均点が雌牛優位は変わらないのだから、あくまでも「ハズれる」可能性が少なくなってくる。後にまた詳しく述べるの

だが牛の場合個体差が非常に大きく、ここの農家の牛は〇〇とか雌の牛は〇〇とかは言い切ることは出来ない。筆者も同じ農家から出荷される牛を見続けているが同じ味の牛というのは存在しないのである。つまり雌牛より美味しい去勢牛はいくらでもいるわけだ。しかし、もし日本一美味しいとされる牛肉があるとしたらそれは雌牛になるのは間違いない。

     国内&海外の格安ホテル検索『トリバゴ』  

〇子牛を生んだ雌牛は?

実は上記に述べた雌牛は、子牛を産んでいない若い雌牛に限る。日本の国産牛で生産量が維持されているのは、それだけの母牛がいるからで、この子牛を産んだ雌牛の牛肉について肉質は著しく落ちるものとなる。

・日本の牛肉生産の仕組み

 

実は一般の方が思っている以上に日本の牛肉生産の仕組みは複雑である。色々な事を理解するためには、この仕組みを理解しなければならない。次回に詳しく述べよう。

 

       LULUTIのキッズドレス&スーツ

 

 

 

 

国産牛解説

 

黒毛和種

 

日本で流通している和牛、黒毛和牛といのは
大部分がこの黒毛和種である。○○牛とスーパーやレストランで見かけるブランド牛肉はほぼこの黒毛和種である。
基本的にブランド牛はこの黒毛和種を日本各地で育てて、育った場所の地名を付けたものである。
ブランド牛肉は勘違いしている人も多いのだが、特別な牛の品種ではない。

黒毛和種の特徴

この黒毛和種の最大の特徴はいわゆる「霜降り」と言われるキメの細かな筋肉の中に入り込んだ、業界で言うところの「サシ」が非常に多いのが特徴である。
日本人はこの「霜降り」を非常に好む。といのも代表的な日本料理である「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」には、この霜降り肉が非常に合い、輸入牛肉のような赤身肉は適してはいない。
また料理の見た目を重んじる日本料理に、黒毛和種は味と見た目が揃った最高の食材とされ、日本の農家は昔から霜降り度合いを競ったのである。

f:id:yukapapatan:20191130020652j:plain

黒毛和種

【シャディ公式】内祝や、お返しも!ギフト専門店【シャディギフトモール】。

 

ホルスタイン

ホルスタイン種はお馴染みの白黒の牛乳を搾る牛である。

・戦後まずは牛乳第一!

戦後は国民に良質なたんぱく質源を供給するために、まず国は牛乳の生産振興を図る。
よくお爺さんが言ってたもので「牛一頭で駅前の土地が300坪買えた」。それほど高価なもので、今のように肉にする余裕は全くない。牛乳の大切さは給食に牛乳が出ることでわかるであろう。

・裕福になると肉

日本が高度経済成長で裕福になってくると、国民は肉が高くても食べたくなる。昔は輸入牛肉は輸入制限されていたので、和牛はいたが数は少なく、国民の欲求を満たすことが出来ない。
そこで次に何が起こったかというと本来牛乳を絞る目的の牛のホルスタインを肉用に育て始めた。

ホルスタイン雄は肉用に

牛乳を絞るだけなら雄は要らない。乳が出るのは人間と同じ雌だけである。
要らない雄は子牛のうちにと殺され肉になっていたのだが、日本が裕福になって外国から家畜用穀物が買えるようになると、自国にある今まで不必要とされていたホルスタインの雄を肉用に育てることが出来るようになったのである。

・雄は去勢

雄牛はそのまま育てて肉にしても肉は硬く、臭みがあって美味しく食べられない。種雄になる以外は全て去勢される。これは国産牛全てに言えることだ。
また後述するが一般的に雌牛の方が味が良い。去勢する事によって雌牛に近づけることが出来る。

ホルスタイン種の特徴

ホルスタインは牛肉を搾る為に存在する品種であって、肉用の品種ではない。となると輸入牛肉の肉用の品種に負けてしまう宿命にある。例えば今なら流行りのアンガス種とか。今は日本人のありがちな「国産牛信仰」に助けられて生き残っているだけの存在である。私なら迷わず輸入牛肉の肉用種を食べる。

f:id:yukapapatan:20191130020707j:plain

ホルスタイン

 

       LULUTIのキッズドレス&スーツ

○交雑種

交雑種の歴史は比較的浅い。今から約40年ほど前からだろうか。交雑種というのは、いわゆる理科で習ったところのF1種でありる。基本的にはホルスタインの雌に黒毛和種を掛け合わせたものだ。正確には他の組み合わせもあるのであるが非常に数は少ない。
この交雑種が生まれた背景には和牛ほど値段が高くなく、品質が和牛に近いものとしての位置づけであった。
F1ということからわかるように基本的には一代種であり、その後継は雄雌にかかわらず
無いものと考えて良い。つまり肉用として一代で終わる品種である。

・交雑種はハーフ

交雑種は簡単に言えばホルスタイン種の母と黒毛和種の父を(上述のように大部分)

持つハーフである。よく言うとホルスタイン種は体格に優れているので、その良い点

黒毛和種は当時体格は良くなく「霜降り」に優れているので、この2つの良い点を合わせたものだ。

・交雑種は偽物?

この交雑種、このわかりにくい名称から、なんとなくうさんくさい感じの印象を長らく

受けている。肉質も黒毛和種に近いこともあり、「黒毛和種を騙して売っている」との

感じがするのであろう。

これが日本人の一番悪いところで、名前でしか物の値段を判断できないから、そのよう

な話が出るわけで、極端な話黒毛和種よりも美味しければ、価格は黒毛和種を上まわっ

ても不思議ではないが、現在価格形成は黒毛和種→交雑種→ホルスタイン種というようになっている。

 

 交雑種は国産牛の重要な一角を担う立派な品種なのである。

・交雑種の特徴

交雑種は黒毛和種の血が混ざっているだけに、味は和牛に近いものもある。価格も和牛に比べ安いので、価格の高い黒毛和種に比べれば、比較的リーズナブルに良い味が楽しめるのではないだろうか。

http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/bukai/.../03_3.pdf

この資料がわかりやすいので添付しておく。

        【Trip.com】公式サイト

 

 

 

 

 

日本の牛肉の品質基準

 

〇日本の牛肉について

日本の牛肉は一般消費者にとって非常に分かりにくいものだ。よく話題に出る「〇〇牛」「〇〇牛」とは何なのか?

何故高いのか安いのか?美味しいのか不味いのか、日本人の悪いところだが名前のイメージや(ブランド)、先入観だけで価値判断をしてしまうところがある。つまり値札だけで美味しい不味いを決めてしまう。実際にはそんな事はないのだ。筆者は長年焼肉店経営、食肉や生産の現場に携わってきたが、今回このブログを通して本当に美味しい牛肉とは何かという事を紹介していきたい。

〇日本の牛の種類

www.id.nlbc.go.jp

・我々が食している国産牛の品種

 

日本の我々が食している牛肉の品種は

黒毛和種

〇交雑種

ホルスタイン

主にこの3品種に大別される。

その他にもこの絵を見てわかるように様々な品種があるのだがめったに食されることは無い。少ないのには理由がある。牛は基本的に経済動物だから飼っても農家が儲けることが出来ないから少ないのだ。

つまり畜産物としても高く売れないから淘汰された品種なのだ。もちろん数量が減りすぎれば希少性が出るわけで今後数量は減り止まりはするであろう。

 

www.alic.go.jp

・希少性に騙されるな

 

この黒毛和種、交雑種、ホルスタイン種以外の品種はたまに希少性を謳って売っている。これは昔に生き残れない何らかの理由があって減ったものであり、決して数が少ないことに対する対価を払うものでない。

もちろん非常に美味しいというならお金を払う価値があるだろうがこれだけ数が減少した事には、そこまでの理由が無いからであろう。

ただ、珍しくものを食べたいという需要はあるわけで、そういう人たちの為にはまだまだ

生き残るであろうと考えられる。

 

〇日本の牛肉の品質基準の決め方

・日本格付け協会が決める基準

牛の価値は何によって決められるのであろうか?それは美味しさでなく「見た目」である。この見た目は

☆どれだけ霜降りが入っているか?

である。

www.jmga.or.jp

今現在牛肉の価格はこの格付けの上位の牛ほど高値で流通される。

日本人の食べ物を見た目で判断する、またそれしか出来ない産物であろう。これが世界の「和牛」といわれるものの実態である。

見た目=味は日本人の悪い判断基準だ。

本当に良いものを作る国が日本である。これを作る側も忘れてはいけない。

 

・見た目と味の関係

牛肉の美味しさは見た目と必ずしも比例はしない。見た目霜降りがどれだけ入っているかで、果物のような明らか味のわかる指標とは違いうのである。また料理の用途によっても人間の感じる味は全く変わったものとなってくる。

霜降りは味でなく「脂肪そのもの」だからだ。牛肉の脂肪を上手く使って作る料理こそ和牛の最高の力を発揮する。

決して霜降りは万能でなく、それが評価基準になってはいけないのである。